―――カ…カカシせんせぇと……しちゃったってばよ…



ナルトはカカシに後ろから抱きしめられた状態で、パチリと目を開いた。
すっきりとした爽やな目覚めだ。
覚醒してすぐに思い浮かぶのは、自身の状態で。案の定、真っ裸で布団に包まっている。
そっと視線を下方へずらす。昨夜の痕跡が肌に残るのを確認し、顔面を真っ赤に染め上げた。


―――うっわー…!なんか痕ついてるし…!!


かなり色味は引いていたが、確かにカカシの口付けの痕が、薄い花びらのように至る所に見られる。
その量の多さに焦りはしたが、九尾を持つ身。時間をおきさえすれば自身の傷痕は大きなものすら残る事はない。
カカシに与えられたこの痕も、おそらくは他の傷と同じくあとあと残る事はないだろうと、ナルトは気に留めない事にした。
カカシの腕は未だナルトの腰へと回され、引き寄せるようにして眠っている。
ナルトはカカシの腕をそっと外すと、ゆっくり身体を反転させ、背を向けていたカカシに向き合うように体勢を変えた。
腕はそっとシーツに落とす。目覚めないようにと慎重に。
体勢を変えると丁度目の前にスースーと寝息を立てるカカシの顔があった。
綺麗な顔をしているなぁと、ナルトはじ~と涼やかな目元、通った鼻梁、物言わぬ薄くて上品な唇を、穴が開くかというほど見つめた。
いつもマスクや口布を装着し、その顔を他人目に晒すことがない。その素顔が見たくて、7班の仲間と様々な企てをしたが、何一つとして成功した試しがなかったことを思い出す。
ところが、そんな隙のない教師がナルトの前でだけ、いともあっさりと素顔を見せるようになり…。
身体を寄せ合うようになれば、尚更で…。
長く離れる以前から、カカシの素顔は充分見ていたはずなのに、貴重なものを眺めている気持ちになってくるから不思議だった。
今もこうして素顔のまま気持ち良さげに眠っている男。
見つめるこの男が、つい先ほどまでこの身体を好きにしていたのだ。
時に強引に、しかし、どこまでもナルトの身体を気遣い、ナルトにあられもない声を上げさせ、ナルトに初めての経験を与えたのだ。
いつものカカシと打って変わって、余裕がなかったようにも思われる。勿論ナルト自身にも余裕はてんで無かったが。

―――せんせ……。

ナルトは心の中で呟いた。
起きて欲しいような、何だか照れくさくて、起きて欲しくないような。………このままこの顔を見つめていたいような。
だが、好奇心がむくむくと湧き上がる。

―――上忍がこんなに気持ち良く寝てていいのかよ、俺が身動きした時点で目覚めなきゃまずいんじゃねーの。

思うと、身体が動いていた。
ナルトは自身の人差し指を一本持ち上げると、そ~っと、そ~っとゆっくり。カカシの細く通った鼻先、その頂きをこづく。
ちょいと。ほ~んの少しだけ。
カカシはやっぱり動かない。目覚めない。

―――おっかしいなぁ。

ナルトは更に顔を近づけ、息をする鼻先、口元へ呼気を確かめるように寄せていく。
肌が触れるかと思うほど、距離が詰まり、ナルトが緊張でぐっと息を押し殺したその時。


「つ~かまえた!」


軽やかなカカシの声とともに、ナルトは抱きしめられ唇を塞がれていた。
あっという間の出来事に、ナルトは驚くどころか固まっている。
そんなナルトの状態にもお構いなしに、カカシは朝っぱらから口付けを深くする。

「うぐっ…んんっ……」

ナルトは漸く事態を飲み込め、必死にジタバタとするが、カカシは抱きしめた背に掌を滑らせ、スルリと綺麗なラインで存在を表す肩甲骨や背骨をさわさわと撫でる。
ナルトの肌は瑞々しくて、一度触れてしまうとカカシはなかなか手放せない。
ジタバタとするナルトを、横抱きから本格的に身体の下に引き込めば、昨夜あれほど好き放題したというのに、カカシの雄はまた朝の元気を主張する有様だ。
体勢により、ナルトの腿に硬くなったモノが触れる。
キスに…あうあう…としていたナルトだが、流石にその質量に気付き、目を瞠った。
カカシの肩口をバシバシと叩き訴えるが、一向に聞き入れられない。
このままでは、朝から”頂きます”ということになりそうだ。
ナルトの抵抗が本格的に強まる。

「っちょっ、………カ、カカシせんせーっ!…あ、朝。朝だってば……っ!!」

「んん…んっ。それがなぁに?」

カカシはまだナルトの唇を離そうとしない。
口付けの角度を変える合間に、ナルトは必至に顎をずらして言葉を紡ぐ。
そんなナルトをまた強引に抑え込み、カカシはふっくらとした熟れた木の実を思わせる下唇を追いかけ食む。
飽くなき攻防は続くかと思われたが、カカシがついと顔と身体を離す。
胸から下は密着したままだが、突然執拗なキスから逃れたナルトは怪訝そうな顔をしてカカシを見上げた。

―――あれ…?せんせ………素直に止めた……?

急にカカシの邪なオーラが消えたことに、ナルトの頭は違和感を感じ、小首をかしげる。
その様はカカシにとって堪らないほど可愛いもので。
下半身の暴れん坊(棒)だけがビクリと反応したが、表情は柔らかいままだ。

「お帰り。ナルト」

いつもの、優しく温かい声音が笑顔とともにナルトに降ってきて。

「え…」

「まだ、面と向かって言ってなかったでしょ?……お帰り、ナルト。本当は会ってすぐに言いたかったんだけど……なんだか伝えるタイミング逃しちゃって…さ」

ナルトの顔面が淡い紅色に染まる。
カカシの悪戯によって染まる色合いよりも、柔らかい桃色は、まるで頬紅を薄ら注したようでもある。
またまた可愛らしい表情を見せられて、カカシの暴れん坊(棒)がムクりと跳ねた。


「………おう。ただいまってば」


ナルトは、くしゃりと笑った。
いつもの陽だまりの笑顔だった。













―――………で。


「お帰りはいいけど…さ、せんせ………この下で当たってるモノは………何だってばよ……」


「ん~~~~~~、ナルトへの愛の塊。今からまた深い愛を注入しようかと……」


「じょ……じょ……じょーだん??!!」


「先生、至って真面目です!」


「ふギャーーーーーーーーーーーーっ!!」





絹をビリビリ乱雑に裂くようなナルトの悲鳴が、麗らかな午前の陽射しの中に響き渡る。























by 千之介

勿論カカシ先生は寝たふりしていました。

おあとがこれですかい…(汗)

すいません…これがラストだったりします。

本当はシリアスな感じを目指していたのですが……蓋を開ければ玉砕の二文字ですね…(遠い目)






拙い文ではございますが、楽しんで頂けたなら幸いです。
ご感想・励まし等頂けますと、管理人は飛び上るほど喜びます!











スポンサードリンク


この広告は一定期間更新がない場合に表示されます。
コンテンツの更新が行われると非表示に戻ります。
また、プレミアムユーザーになると常に非表示になります。

ぽちり☆

【R-18】閲覧制限パスワードについて

・タイトルの★マークがR18もしくは、open表示憚られると思われた要パス制です。

管理人の独断により、openな開示をはばかられると判断した場合はパスワードを必要と致します。
パスワードは難しいものではありません。カカナルに愛をお持ちの方であれば、非常に簡単です。二人の誕生日4桁を半角英字xで繋ぐ9文字です。
入力は半角英数のみ。(カカシ×ナルトってことです☆)

メールフォーム

ご意見ご感想お待ちしております。
お返事が必要な場合は必ずメールアドレスをご記入下さい。