カカシ先生が好き好きーだけれど、先生に素直になれない、一部ナルトです。














カカシ先生のことが…好き。好き。すっげ―好き。


だけど、その「好き」をどう伝えたらいいのか、全然わかんねーんだってば……。







こんなに好きなのに…。













【好きって言いたい】





















「ナァルト♪」


カカシ先生はいつもの調子だってば。
いつもいつも同じ。
俺がベッドで巻物開いて見ていると、そっと傍に寄ってきて、俺の読んでる巻物の邪魔にならないように、スルリと横のいい位置につく。
自然に。
静かに。
そして、集中しているふりの、俺の耳元で機嫌良く名前を呼ぶんだ。


「カカシせんせ、うっせーってば」


なのに俺は……そんなカカシ先生を、まるで鬱陶しい蠅を追い払うみたいにして、手でパタパタするんだってば…。
今日び、女の子だって、うざい男追い払うのに、そんなことしねーよなぁって思う。
でも、俺はいつもそうして、カカシ先生に素っ気なくしちまうんだ。
かまって貰うの嬉しいくせに。
こうして家に来て貰って、何だかんだと世話やかれるのが、何より楽しみだったりするくせに。


「さっきからずっと巻物見てるデショ?喉乾かない?コーヒーかお茶入れるけど」

「……う」


巻物から目を離し、カカシ先生の顔を見てしまった。
ドンピシャ。
…喉渇いてました。
すっげ嬉しいのに、見透かされてるみたいで、やっぱ素直になれない。


「べ…べつに……いいってばよ」

「だぁめっ!水分補給は必須。オマエ、集中し始めると飲食忘れるみたいに取り組み出すからね…。で、あとからバカスカ摂取するデショ?!…ああいうのは頂けないね。定期的に水でいいから水分を入れなくちゃ。ね!」

「先生……野菜だとか、水だとか……細かいこと言いすぎだってばよ…」


憮然とした表情になって小さな文句を言う。
そうすると先生の大きな拳が降ってくる。
これもいつも一緒。
コツンと軽く拳骨を食らうんだ。
大きく派手な声を出しはするが、言うほどは痛くない。


「イッてー…」

「こぉら……大事なことでしょーが。忍にとって身体作りは最も基本的なことだよ。アカデミーでも散々注意されてきたはずだ。イルカ先生はそんなにお前のこと甘やかしてたのか?」


そしていつもなら、ここから怒涛のお小言開始。
でも今日は短い方だったってば。


「イルカ先生のことだから、何かと食を気遣って下さってただろ?以前も言ってたじゃない。よく、イルカ先生宅で鍋したとか。夕食御馳走になったとか……。今は俺がその変わりをやってるつもりなんだけどねぇ~」

「先生、しょっちゅう来るじゃん。イルカ先生はたま~にだったってば」

「お前がそんなだから、心配になっちゃうの!んっとに、さぁ、今日買ってきた新茶淹れたげるから、一緒に飲むよ」

「巻物…まだ途中だってば…よ」

「いいの。俺は今、ナルトとお茶が飲みたいんだから」


拗ねたように俺が言った後、カカシ先生は俺の頭をクシャリとかき混ぜ、優しく撫でる。
でもね、本当はすごく嬉しい。
俺とお茶が飲みたいって、いつもあれやこれやと買って来てくれるってば。
先日は任務先で、美味しいって評判の珈琲だったし。
異国から帰って来た時なんか、とても変わった香りのフレーバーティーっていうの、幾つもの種類買って来てくれて…
本当にフルーツみたいなのや、花の香りそのものみたいなのもあったよなぁ。
いつもいつもすっげ、嬉しいの。
何より嬉しいのは、そのお茶……必ず俺と一緒に飲んでくれること。
今日は茶葉の産地に立ち寄ったからと、新茶を買って来てくれた。
素直に、『一緒に飲もうな、先生!』って言えればいいのに……。
今日もやっぱり言えなくて…
忙しいのに、何で来るってば?とか…
窓から入ってくんなよ…とか。
可愛げのないことばっか、言っちまった。
任務以外で、先生と同じテーブルについて…
湯気を立てる湯呑やカップを眺めていると、本当に落ち着くし、大好きな時間だと思えるのに…。



何で言えないんだろ…。



先生に、『俺この時間が大好き』って。



先生が『大好き』って…。



あまりにも、この『好き』が今までの好きと違い過ぎて…



…言えなくなってしまった。



イルカ先生にも、サクラちゃんにも…三代目のじーちゃんにも…



ちゃんと言えんのに…。



先生好き。



めちゃくちゃ好き。



すっげー好き。大好き。




「はい、ナルト。お茶入ったよ」

「…あ、ありがとうってば」

「ん~~、いい香り」

「…ん。」




先生がゆっくりと口布を下ろして、普段見ることのない先生の素顔が全部晒される。
……いつも、ドキッとする。
でも、これも大好きな瞬間。
俺だけ、先生の顔を見ることが出来るんだ。
外でなら、先生はあっという間に食べたり飲んだりしてしまうので、ゆっくりその顔を拝むことなんて出来やしない。
…なのにこの部屋では、先生はゆっくりとお茶を飲む。ご飯を食べる。
俺はそんな先生の顔を、いくらでも見飽きるほど見ることができる。
先生はどう思っているか知らない。
でも俺は……先生が…先生のことが大好き。
お茶を飲んでる間、先生のことをじっと見る。
見つめるだけでこの気持ちが全部、全部全部。全て伝わればいいのにと思って…。




先生。好き。大好き。


任務の時のかっこいい先生も。


俺と一緒にお茶を飲んでくれる先生も。


厳しい先生も。


優しい先生も。


真面目な先生も。


ふざけている先生も。


大好き。大好き。大好きって言いたい。


伝われ。伝われ。俺の『好き』。


カカシ先生のとこまで飛んで行け。






そんな風に思いながら、俺は熱いお茶をすすった。
先生は徐に、湯呑をテーブルに置いて…俺の方を見、フフフと笑った。
声を発していないのに、先生が何かを喋った気がした。
確かに唇が動いて、言葉の何かをかたどっていた。





【ナァルト。俺も大好きだよ。】





あれ?俺の見間違いだろうか…。



先生の唇が、そう動いた気がしたのは………。



俺ってば、先生のこと思い過ぎだってば。



先生にまで、同じ『好き』を求めるなんて……。



先生の淹れてくれた緑茶が……



いつもなら、ほんのり苦いはずなのに。



今日は……嘘みたいに甘く感じた。























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