ちんたらの歩みですがお許し下さい…
「こんだけ、あんだしさっ…一個くらいで目くじら立てなくたってさ…!」
「「アホか―――っ!」」
サイ以外の二人は、角を出さんばかりの勢いだ。
二人の説教にナルトが縮み上がる中、その音は突如辺りに響き渡った。
ゴリゴリゴリゴリゴリゴリ……ガガガガガガガガッ!
首のもげた石像の真後ろの壁が、まるで大きな一枚扉を開くかのように後方へとずれる。
四人はあっけにとられ、ただその様子を眺めていた。
グガンッ!
埃と砂を巻き上げ、漸く壁の動きが止まったかと思うと………そこには、何とも驚くほど大きな穴が開いていた。
「………これって……」
「そうだよ、サクラ…、こりゃあ驚いたな。隠し部屋だよ」
「これって見つかってない通路っていうか、部屋ですよね」
サイは作戦時に渡された巻物を手早く開き、ランタンの明かりでその内容にくまなく目を通した。
「うへっ?」
当のナルト本人だけが、未だに事態を把握していないようだった。
ヤマトが落ちている石像の首を拾い上げ、その断面を観察して片眉を上げた。
「サクラ、これ見てみろ」
言われたサクラも、首の断面を見てアッと声を上げる。
「あっ!これって…隊長、これって、ゼンマイが仕掛けてあります。これ、しかけ扉になってたんだわっ!」
「へ~、じゃ、ナルトはたまたま、これだけある石像の中から仕掛け扉が仕込まれた石像の首に手をついて、しかも作動させたってわけなんだね」
サクラはキャーキャーと黄色い声をあげ、思ってもみなかった出来事に興奮している。
それもそのはず、今まだ見つかっていなかった新しい通路が見つかったのだ。
「そうだよサイ、こんな偶然がなきゃ、とても見つからなかったはずだ。今では、石像群など遺跡に関するものを触れてはいけない決まりまであるんだ。遺跡群保存のための規約が、新たな発見を遅らせていたのか…。しかも誰も石像の首をもごうなんて考えないからね。ホンっと、カカシ先輩の言うとおり、ナルトは意外性№1忍者だよ」
「ってーことは、俺ってば、お手柄ってやつ?」
三人の様子にナルトはやっと事態が飲みこめたのか、ニヘラと笑って上機嫌だ。
「まぁ、今回はそういうことにしておこうか。でも、もう絶対に中の物には手を触れてはいけないよ、三人ともこれは必ず守る様に。今から中を探索するけど、何が起こるか分からないから気を抜いてはいけないよ」
ヤマトは、また表情をキリリと引き締め、暗闇の広がる穴の入口へと、まずは自ら進んで行った。
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