「ばぁ―――ちゃんっ!ばーちゃんっ!!やめろってば、もう、やめてくれってばっ!!うわ~~~~~~~ん、カカシ先生が死んじまう~~~~~~~~~~~~~っ!」
ドッカ―――ン!
すごい爆音と共に、カカシ先生が壊れるより先に、執務室が破壊された―――。
【愛のバクダン】 The love a bomb in Konoha
「何だって?…………………………これは私の聞き違いかね~……なぁ、シズネ、私は耳でも悪くなっちまったかね~………」
(アヒィ―――――!!)
シズネのねーちゃん、竦み上がってる!
胸のトントンが押しつぶされそうだってば…、力緩めねーと、シズネねーちゃん!!
「何度でも申し上げます。火影様…いえ、綱手様………、ナルトと結婚したいんです。ここにサインを頂けないでしょうか?」
あああ……せんせ、言っちまった……。もう止めときゃあいいのに…ばぁちゃんマジにすんげー顔してるってば……
おそろしいってば…
俺はカカシ先生の後ろでおろおろするばっかりだってぇのに、カカシ先生はひるまず堂々としている。
でもある意味、普段の先生よりもかっこいいかも。
あ、いや、そんなこと考えてる場合じゃない。ばーちゃんの青筋がすっげー…。
マズイってばよ……
この不穏な空気、せんせ読めないわけねーじゃん。
「結婚?!―――――――そりゃおかしいねぇ……ナルトは男子だがな……」
「この里には、そんなカップル山程おります」
「カカシィ~~~~~~~~~~~~」
「何と言われようとも、一歩も引きませんよ俺は!ナルトを愛してるんです。結婚したいんです。添い遂げたいんです!!」
「なぁにをぬけぬけとぉ~~~~~~~」
「ナルトを幸せにしてみせます!ですから、ここにサインを下さい。それだけでいいんですっ!」
先生は、やっぱりひるまず、婚姻届の白い紙をばーちゃんにズイと突きだして見せた。
「ばぁかかお前は………サインしろと言われて、この私がサインするとでも思うのかい?だいたいナルトの気持ちはどうなんんだ?この子はまだ16歳だよ!!!」
「ナルトの了解を貰っているからこそ、ここに連れて来ているんじゃあないですか!あとは綱手様のサインだけなんですよ」
「ナァールト―――!!!」
「はっ、はいっ!」
「お前、騙されてんだよっ!」
「いや……ばぁ…ちゃん、それは……ないってばよ……」
情けないが、だんだんと声が小さくなってしまう…。
ばぁちゃんの睨みがもんのスゴイ。
―――こえー…ってばょ……
「ほら。ナルトも言ってます。ここはサインを!」
「まだ言うか、カカシッ!お前らが付き合ってるっていうのすら、寛大な気持ちで何とか目を瞑ってきたというのに、その温情も無碍にするかっ!」
「温情も何も、他人の恋路を邪魔するヤツは、馬に蹴られて何とやらですから…当り前でしょう」
「ぐぉら……、カカシ…この私に、死んでしまえと言いたいか…… んん――??」
(アッヒ――――――!!!!!!)
「何もそんなことは(思ってたって口には出しません)、あくまでもプライベートな案件です。私情は置いて、普通にサインをしてください」
ドッカ――――――ン!!
一気に埃が舞った。
ばぁちゃんが怒りに任せて、火影の執務机を片手で叩き割ったんだってば……
「「「あ…」」」
そのまま、あっけにとられているカカシ先生のところへ、ばぁちゃんがツカツカと歩み寄って…
ボウウウウウウウウウウウウウウウウウウ―――
あ、火遁だ…。
しかも印も見てとれぬ素早さで…。
ばぁちゃんの怒りが正に火を噴いた。
せんせ……大丈夫だってば??
あ、何か灰になってる―――。
「あああ――――――――――っ!綱手様っ!!婚姻届がっ!!」
「フン、何度来たって灰にしてやるよ。一昨日おいで」
先生が持ってる白い紙は、すっかり今の火遁で灰になって、ポロポロ崩れて床に広がった。
先生もところどころ焦げてる…よな。
もうここまでくると、交渉じゃない。ただの喧嘩だ。
ばぁちゃんはしてやったりと、スッキリした顔で背中を向けるが…
対して、思い入れの深い紙を燃やされた先生は、ワナワナと震え…
「何すんだ…このくそババア……」
「「ッヒ!」」
言っちゃった……言っちゃったよカカシ先生―――
シズネねーちゃんと俺は、先生の低い唸るような声を聞き、すぐに引きつれるような声を上げた。
二人同時に火影を見る。
その背中が、先ほどの科白で、ピクリと震え………
あとは言うもおぞましいチャクラを放出し始める。
かーなーり、マズイ―――。
「先生っ!逃げろってば、早くっ!!!」
「ナルト君っ!すぐにカカシさんと逃げて下さいっ!」
二人が叫んだのはほぼ同時だ。
シズネさんがばぁちゃんに抱きつくようにして止めに入る。
トントンはポーイと、入口前に放り出され…豚とはいえ、自分から扉を開けて逃げ出し危険回避する。流石は火影のペットだ。
先生は……というと、……うっそ!!まだ逃げようとしていない。
「カカシっ!歯を食い縛れっ!」
言うが早いか、シズネさんを振り落とし、ばぁちゃんの鉄拳がカカシ先生の頬に決まった。
先生も上忍の見切りで受け身はとったが、ばぁちゃんの馬鹿力をまんま受けたら、ただでは済まない。
あっという間に吹っ飛ばされる先生を、俺は身体を張って受け止めた。
心配で先生を見やれば―――
んぎゃー!先生の男前の顔が台無しだっ!!
口布越しでも、顔面の変形が見て取れる。
「先生っ、ここはあきらめて逃げるってばよ」
「嫌……だ。俺、は…ナル、トを……諦…めない」
先生は口から噴き出す血をベッと、床に吐き出しヨロヨロとだが、立ちあがる。
俺は必死で止めた。
ここは逃げるが勝ちってやつぐらい、俺だってわかるってば。
「いい根性だ、その根性は認めてやる」
「根性…認めるなら……ナルト…との…結婚も、認めて下さい…よ」
言うと先生は、俺から離れてまた火影に向き直る。
そんなこと言ったら、また火に油だってーのに。
ゆらりと立ち昇る気迫はまさに執念そのもの…
でも、もういいって、よそうよせんせー!
ドスッ!
鈍い音がした。次いでガハッ…と先生が血を吐く音。
ばぁちゃんのボディーブローがカカシ先生の腹に決まっている。
「ッギャ――――!ばぁちゃん、カカシ先生殺す気だってば?!」
「こいつは…一回死んだ方がいいんだよっ!」
先生は、ばぁちゃんの渾身のボディブローで床に蹲ったままだ。
そんな状態なのに……
「グッ…フ……死……んだっ……て…、ナ…る、と……諦め……ま…せん」
「このぉ…!減らず口がぁ……」
ばぁちゃんが蹲るカカシ先生に、こともあろうか、必殺の踵落としを浴びせようとする!
「ばぁ―――ちゃんっ!ばーちゃんっ!!やめろってば、もう、やめてくれってばっ!!うわ~~~~~~~ん、カカシ先生が死んじまう~~~~~~~~~~~~~っ!」
俺は、死に物狂いでばぁちゃんに縋りついた。
これ以上、俺の為にカカシ先生が傷つく姿なんか見たくない。
「これ以上やったら、ばぁちゃんと一生口きかね――――っ!」
ドッカ――――――ン!
寸でのところで、ばぁちゃんは的を逸らせた。
俺の魂の叫びが効いたらしい…。
そうして―――
すごい爆音と共に、カカシ先生が壊れるより先に、執務室が破壊されたのだった。
by 千之介
結局、後日談です(^^;
もう、しっちゃかメッチャかですが…やっぱり書いてて楽しいのでv
拙い文ではございますが、楽しんで頂けたなら幸いです。
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