今夜は待ちに待った夜…
ナルトが約束通り、闇に忍んでやってくる夜だ。
回復は順調で、既に明後日の退院許可も出ている。
ナルトは安心して来てくれるはずだ。
今日の任務は夕刻には終わっているはず。
その情報も、見舞いに来てくれたテンゾウから既に確認済で…
あとはこの病院が寝静まる時刻を待つだけだ。
かれこれ5日ほどこの木の葉病院に入院して、ナルトを抱かずにいるものだから……
今夜が待ち遠しくてしょうがなかった。




可愛い子、ナルト。
俺のナルト。
ナルトに会える。
今夜抱ける。そう思うだけで…
もう、胸のドキドキが先ほどから止まらない。




ほぼ個室のこの部屋。
隣にもう一つ寝台があるものの、俺の隣が使用されることはほぼ無い。
火影の計らいか…
木の葉病院の常連である俺への気遣いか…
だから気兼ねなくこんな逢瀬を計画出来るのだが…




古びた壁に、ぽかりと開いた一つ窓。
そこから見えるのは……丁度二階になるこの部屋の、横手に枝を張り出した大木と、その枝葉から見え隠れする見事な月。
今夜は、先月の十五夜を思わせるような月が出ている。
スッと、窓辺から入り込む月明かりに、今夜はこれで十分と
先ほどから本を読む為に点けていたベッドサイドのライトを消した。
手元のイチャパラ本もパタンと閉じて、枕横にと用済み扱い。
枕を二つ背中側に重ね、姿勢を楽にしてベッドヘッドに凭れかかる。
身体を起こしたまま、明るい月光が覗く窓を見つめた。
鍵は開いている。
それほど時間が経つこともなく、ナルトが、冷えた月明かりを背にその窓辺からやってくるはずだ。
俺はその時を今か今かと待ちわびた。













――――その時は突然やってきた。


愛しい気配を感じた途端、ガタンと音を立て開く窓。
そこには愛し子が、やはり月明かりを背にひょいと窓枠に乗っかっていて…




「せんせ、遅くなってごめん…待ったってば?」




さぁ、いらっしゃいナルト。
俺はフフ…と笑みを零して優しく答えた。
口元を覆う布を、ゆっくりと下方へ引き下ろす。
ナルトに今宵一番に見せる笑みは、たっぷりと想いをのせたもの。
こんな重苦しい色をした表情を隠す布は、まったくの無用の長物だ。





「お疲れ様ナルト。とっても甘やかな待ち時間だったよ」













ナルトは俺のベッド端にちょこんと腰を下ろす。
やはり俺の体調が心配の様子。
あれこれと身体のことを聞かれ、暗に今夜の行為は大丈夫か?と聞かれているようだ。
大丈夫に決まってる。
ここで、やっとの逢瀬を逃すわけにはいかない。
しかもナルトからの申し出なんだ、慰めて貰えるなんて……こんなシュチュ、早々お目にかかれないだろう。
良かった。と言って頬笑むナルトが、
ベッドの掛け布団を膝辺りまで捲り上げる。
そして、俺の腰に跨る様にして座り込んでくる。
そぉら、いよいよだねぇ~。楽しみで仕方ないよ。


「駄目だってば…カカシ先生は動いちゃ」

「へ?」


俺に跨ったナルトに手を伸ばし、抱き寄せようとしたらこう言われて、ナルトの両腕に制された。


「ど、どういう事…?」


抱いちゃ駄目なんて、今更言われたってストップ利かないから俺…。
剣呑な視線で、思わずナルトを睨んでしまう。
すると俺の可愛い意外性№1は、考えもしなかったことを口にする。


「今夜は……俺が全部するから、センセはそのまんま体勢変えちゃダメだってば……」

「っぐ…」


俺は言葉に詰まった。
この子は―――。
だらしなく緩む顔を咄嗟に隠す為、我知らず掌で鼻先から口周りを覆う。
ナルトが演習時のような真剣な眼差しで、こちらをじっと見つめてくるから、早々に俺の分身は反応を始めてしまう。
俺の腿に座り込むナルトの、男にしては柔らかい臀部を感じれば、その反応は益々強いものとなる。
三十路といえど、俺もまだまだ元気なもんだねぇ。
ナルトを取り囲む若い子達にも負ける気なんてサラサラしない。


「センセ……そのまんまか、仰向けになってベッドに横になるか、どっちがいい?」

「あ、あの。それってさ……ひょっとして、ナルトが上で………」

「上でとか、下で…とか、よくわかんね―けど……いつもみたいな感じですると、絶対先生動くこと多いからダメだってば……もうすぐ退院なのに、今傷開いたら大変だってばよ……」

「オマエ……すごくかわいいこと言うねぇ……」


ナルトの言葉に、もう感動するやら、感じちゃうやら。
すっかり体調は元気なはずなのに、別の意味で熱が出てきそうだ。


「それに……今夜は先生を慰めるって言ったってば?だから、俺が頑張るっ」


いったい、何を頑張るというのか…、いや、今からナニを頑張ってくれるんだよね。
考えたらテレてきちゃうよ…ハハハ。


「じゃ、このまま…で」


俺は大きく積んだ枕を背もたれに、背中を預けた姿勢のままを要求する。
今は正面からナルトを見ていたかった。
寝ころんで見上げるよりも、顔を付き合わせている方がいい。
この姿勢なら、腰をずらせば、背に凭れる角度も比較的自由に調節出来る。


「ん、わかったってば」


そう言うと、ナルトはごそごそと俺の上で上着のジャージを脱ぎ始めた。
ベッドの下に、パサリ…と落とされる布特有の落下音すら、この暗がりの部屋では淫媚な響きを持っていた。
部屋に差し込む月明かりが、メッシュの鎖帷子だけのナルトを艶っぽく浮き上がらせ、この邪まな期待を含んだ視線を釘付けにする。
次に。ナルトが、腰を浮かせてズボンの前立てに手をかける。
それまで、ナルトの脱衣に見入っていたが、その時点で肝心なことを思い出した。


「あ、ナルト、待って!」

「え?何だってば…?全部脱がなきゃH出来ないってば…よ?」

「いや、そうじゃなくて………脱ぐのはいいんだけど、その後着て貰いたいものがあるんだよね」

「は?!」

「何で着るってば??折角脱いでんのに。せんせ……おかしなこと言ってるってばよ」

「いやぁ~~~~、ナルトが慰めてくれるって言ってたからさ……、ちょっと普段出来ないことをこの際お願いしてみようかなぁ…と」


ハハハハハ…、といつもの胡散臭い笑いをすれば、この子はスッと目を細め、碌なことを言い出さないだろうな…という顔した。
ま、確かに……。
今から言うことは、ちょっとね。胸を張って頼めることでもございません。
俺は身体を横手にずらし、ベッド下へと手を伸ばす。
すぐに寝台下に置いてある大きな紙袋に手が触れる。


「あの、ね、これ」

「何だってば?この紙袋」

「これを着て欲しいの、嫌はナシね」


ナルトがガサゴソと紙袋の中を漁る。
引っ張り出してきたのは、薄いピンクの布地だ。


「…………………何だってば…コレ」

「フフ、病院といえばコレでしょう。ナース服だよ」

「っんがっ!!!!!!!!!!!!」




ナルトの声にならない声。
でも、本当は絶叫したいに違いない。
しかし、病院内の上、この時間。消灯時刻も過ぎている。必死に我慢出来たのは、称賛に値するね、ナルト。
でも、大丈夫だよ。
これから行う行為のために、既にこの病室内には結界を張ってある。
今日の巡回当番も調べ上げて、該当者にも前もって催眠暗示をかけておいた。
今夜はこの部屋に、訪れる者は誰も居ない。
俺は抜かり無い男なのよ~、ナ・ル・ト。















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by 千之介

うちで先生と呼ばれる誰かさんは変態です(笑)


拙い文ではございますが、楽しんで頂けたなら幸いです。
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