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2010クリスマス話 続編】…一部カカ→ナル


背の高い口布したサンタが、クリスマスの夜に眠るナルトの枕元へ、山ほどプレゼントを置いてきたとさ。その続き。















「先生だろ…」


ナルトの部屋で突然、唐突にナルトが不機嫌に声を発した。
反射的に聞き返せば、やはり眉を顰めているナルトの顔が視界に入った。


「え?」

「先生がクリスマスプレゼント持ってきたんだろ?」


何とも今頃な話だ。
すっかり年も越し、片づけられた部屋にこうして訪ねて来てみれば、本当に唐突にナルトが指摘してきたのだ。


「や、なぁに、言ってんのかな~?」

「とぼけんなってば…!先生って知ってるってばよ…」


しらばっくれようか…。バレても別段困る様なことでもないので、あっさり認めるか少しの間迷った。
クリスマスの醍醐味をナルトに味わって貰いたかった。ただそれだけで行ったことだ。下心も何もない。
本来なら『そ~だよ~。ビックリした?』程度の言葉で済むはずだったのに…。
予想と違い、何故かナルトの表情が不機嫌を象って見えたから、天井に視線をやったまま言葉を選んでしまう。
その様子では、プレゼントは喜んで貰えなかったのだろう。
あれだけ一点一点を悩み抜いての選別であったのに、多少残念な気はしたが、そんなものを押し付ける気持ちも毛頭ないので、まぁ、次のチャンスに賭けよう。そんな程度の思いだった。


「ん~~、何の事?」

「先生がクリスマスの夜、俺の部屋にプレゼント一杯置いていったってば?」

「へ~、ナルト一杯プレゼント貰ったんだね、サンタさんが来てくれたんだ。良かったね~」


すっとボケてナルトに笑顔を向ける。しかし、そんな俺にナルトはキッと睨みつけるような強い視線をぶつけてきた。
何だっていうんだろう。睨まれるほど嫌なもの、プレゼントに選んだつもりはなかったんだが。


「ねー、ナルト。聞いていいかな?サンタさんにプレゼント貰ったのに、何でそんなに機嫌悪いわけ?しかも正月明けて俺が遊びに来てるのに…そういうテンションって…ちょっと。先生、寂しいんだけど」


瞬時に真顔に戻った俺の、ダイレクトな質問にナルトは頬を強張らせ、そののち静かに顔を伏せた。
表情は見えないが、何となくではあるが、どんな顔をしているかはだいたい想像がついた。


「ごめん……なさい……」


消え入るような小さな声だった。
思わずガタリと、椅子に凭れていた背を起こし姿勢を正す。
いけない…俺の言い方がキツかったのか。ナルトを傷つけてしまったかもしれないことに、今更気付く。


「え、……あ……ナルト?」

「嬉しかったってば。プレゼント…。俺、クリスマスのプレゼントなんて初めて、……初めて貰ったから……朝起きてビックリしたってばよ。でも、初めてだったから、何て言っていいか……嬉しいんだけど、あんまり慣れてないからさ。色々考えちまって……。俺ってば、親もいねぇし……、三代目のじーちゃんちじゃ、ケーキとか食ったことあるけど、クリスマスの風習とか無かったっていうか……一人で暮らし始めて、サンタって少しは期待もした時あったけど、俺んちに来るわけねーの、そんなの子供でも解ってたし…………なんか、なんか…忘れた頃にこーゆーの……。サンタいねぇの知ってっし……、俺のサンタなんて……そんなの先生しか思いつかなくて………でも、なかなか聞く勇気もなくて……」


ナルトがぽつぽつと話す内容は、あまりにも自分が思い描いていた感情より重いもので。単純に『ありがとー!』『嬉しいー!』の一言で片付いたりしないのだと、恥ずかしながら、ナルトの一言一言を耳にして初めて気がつく有様だった。


「ナルト……」

「だから、さ。先生じゃなかったら……なんか、素直に喜べないっていうか……何かのイタズラか、間違いかな…とか…思って……ずっと考えてたら、イライラしちまって……」


身体が先に動いた。言葉よりも、何よりも、気付くと身体が先に動いて、テーブルの少し横で突っ立ったままのナルトを抱き締めていた。
まだ身体の小さいナルトを、腰を落として抱きしめる。自然と顔はナルトの首筋に寄せられた。


「せんせ…」

「はぁ~…、ほ~んとゴメンね。そ、俺がナルトのサンタさんになろうとしたの。でも驚かせたくってさ、黙ってたんだけど……、変に悩ませてしまったみたいで……。ホント、ゴメン」

「………せんせぇ」


告白すると、ナルトの声は小さく震え、その顔は一気に崩れて涙が溢れ出した。
そんなナルトを益々抱きしめる。
やはり可愛くって仕方ない。
あの寝顔も。
この泣き顔も。
可愛くて、可愛くて……ナルトを泣かせてしまったのが自分であるのに、ついつい頬が緩んできてしまう。

(イケナイね~)

ナルトの身体の感触を楽しみながら、俺は心の中で呟いていた。
イケナイ…いけないんだ。
こうして抱きしめているだけで、それ以上の愛しい感情がすぐに浮かび上がってしまうのだから、可愛くて箍が外れてしまいそうになるのだから。
ナルトの泣き顔に欲情してしまいそうな自分を叱咤する。
まだ筋肉のつききらない薄い肩が上下して震えて、か細い少女のような儚さに、堪らず腕を回し抱きしめて、華奢な首筋に口元を寄せた。口唇でナルトの体温を測る様に添わせ、上へ上へとずらせていけばふっくりした頬。
チュッとわざとらしい音を立て、涙に濡れた肌へ触れるだけのキスをすると、ナルトが驚いた顔をしてこちらを見る。

(カ~ワイイ!)

「せんせ…」

「もう、泣~かないのっ。…で、プレゼントはどこにしまい込んだの?」


言えばナルトは言葉無く、人差し指を押し入れへと向けるだけ。
ああ、そこね。隠してたんだ。


「あのさ…、プレゼントの包装解いて中見てたら、すぐ解ったと思うんだよねぇ~ナルト。あの中に、先生お気に入りのコーヒー豆入ってたし」

「え、そうだってば?」

「そ、入れておいたの…。ここで飲む用に」

「ヘヘ…」


ナルトが笑った。何が笑いどころかはわからなかったが、いい笑顔だった。


「でもね、先生…沢山のプレゼントもすっげ嬉しいけど…」

「けど?」

「本当は、プレゼントよりも、先生とクリスマスを一緒に過ごしたかったってばよ…」

「え?」

「俺、センセと一緒に居たかったってばよ」


これは、異性であれば完全なる愛の告白に受け止めることが出来るのだろうが…。
ナルト相手では意味が違うのだろう。素直に喜べない自分が居た。
クリスマスの夜に見た、ベッドでゴロンと眠るナルトの横に、並んで眠る自身の姿を想像する。
なかなか……悪くない。
ただ、添い寝だけで済むかどうかは、はなはだ疑問である。
今年のクリスマスは、今より少しステップアップした二人が居るのだろうか。
何にしても、悪い約束ではないと思った。


「ん、じゃ。今度は一緒にクリスマスしようね~」

「うんっ!」


素直に喜ぶナルトに頬を緩ませ、今年のクリスマスが一足飛びにやってくればいいと思った。



まだ、年が明けたばかりであるというのに―――。

























年明けて、正月なのにクリスマスの話題……。
2010クリスマスの続編になります。
な~んとなくイチャコラして欲しくって。
まだそこまでラブラブ出来ていない、一部の二人設定かな~?
一部カカシには、ナルトをとっても甘やかして欲しいのです。
可愛がって可愛がって、小動物を撫でくり回して可愛がるイメージ(^^;


ちなみに自分は、いつまで枕元にクリスマスプレゼント置いて貰ってたか、思いだそうとしましたがすっかり忘れてました。
幼稚園の頃は信じてたかな~サンタさん。
いい子していないとに親がサンタさんに電話して、プレゼント無しにしてもらう!とか言いましてね…。
それがとってもショックで、言う事聞きます~~~っ!ってビビってたのは良く覚えておりますよ(汗)
しかし、なんでうちの親はサンタさんの電話番号知ってんだ??とか、そういうツッコミは一切思いつかなかったようですな;それだけ、幼くピュアだったんだよなぁ~~~(遠い目)










手術を終え、落ち着くまで当分まともな更新は出来ませんが、今回のような更新はちょこちょこしていきたいな~と思ってます。無理の無い程度で出来るものを、無理無くupが当分の合言葉かな…。


2011/01/07(金) 12:30 カカナル文 permalink COM(0)





★一部カカ→ナル。イヴのサンタカカシです。








カラカラカラ…

いつも通り、安っぽい音を立てて、鍵など滅多にかけられることのない窓は開かれた。揺れるのは銀の髪でなく、赤い帽子の先、白い房。サンタの衣装を上下フル装備したカカシは、巨大な白い袋を肩から背に担いでいた。

「よっこいしょ…」

カカシはヒョイと、その窓枠を飛び越える。

肩に担がれた大きな白い袋が引っかからないように、と、細心の注意は払われていたが、ベッドに置かれた時は、ドサリと音が立つほど、その白い袋の中身には量(かさ)があった。

(あっ、マズッ……)

無事に部屋へと侵入を果たしたカカシは、ベッドで既に就寝している部屋の主、ナルトの様子を見やる。

ナルトは、寝具の僅かな揺れなど気にもせず、心地よさげに眠っていた。

(あ~らまぁ、よく眠っちゃって♪)

ナイトキャップは微妙にズれていたが、掛け布団を両手で握りこむようにして、安心しきったように眠っている。

(か~わいいけどさ、もうちょっと忍らしくあって欲しいもんだよね…先生としては…さ)

カカシは心の中で呟いた。そして、眠りが深い内にと、早々に袋の中のものを取り出しにかかる。

今日はクリスマスイヴ。里も賑やかに彩られ、どこも室内は華やかな装飾で飾られているのだが…。

この子の部屋はいつものとおり、何も変わらず殺風景なままだった。

家族というものを持たないこの里の忌み子が、まともなクリスマスを迎えるはずもなく、孤独な夜を毎年のように過ごすのが定番であったのだが…。

今年は……。

(ま、俺が先生になったわけだし、これくらいいいよね~)

(それにしても、クリスマスのクの字もない部屋だねぇ~。枕元には勿論、靴下も無しか…。ま、プレゼント。靴下に入る様な大きさじゃないけど☆)

そう声もなく呟くと、カカシは取り出した大小の箱をベッド脇へと積み上げる。

(え~~と、まずは『簡単にできちゃう料理本の二冊セット』に。食の国から取り寄せた『本格中華そば5食詰め』デショ。『高性能小型医療パック』と……『カカシ特選トランクス3枚組』♪それから……俺が部屋にお邪魔した時に出して貰う『コーヒー豆』……あとは…、あ、これ結構重いな…『ガーデニンググローブ付きガーデニングセット』に。………冬に温かいナルトカラーの『マフラー&手袋』はこっちに乗せて……『冬野菜のバスケットとミカン』はテーブルに置いときますか!)

次から次に袋から取り出された華やかなラッピングが、ベッド横にセッティングされるとカカシは漸く一息ついた。

そして、ああ、これも。と真っ赤な上着のポケットから、ナルトの足サイズであろう靴下を取り出し、ベッドヘッドに引っかける。

赤い上下を着こんだカカシの、今夜の仕事はこれで終わりだ。

ヘロリと草臥れた白い布地を肩に引っかけ、カカシはナルトの部屋を後にした。

明日の朝、ナルトがあの荷物を見た時に浮かべる表情を想像しながら部屋へと急ぐ。

こんな格好を誰にも見られたくない。そう急いでいる時に限って誰かに会うもので……。






「おっ!何だー??サンタかと思やぁ、カカシじゃねーか!!」


「ッゲ!アスマ!!」


「今までサンタコスでクリスマスパーティーか?いーねー楽しそうで♪」


「ちがーうよ。サンタのお仕事してました…」


「はぁ?お仕事だぁ?……にしても、サンタ衣装に口布たぁ……ひでー組み合わせだな;白い髭でも付けてりゃあ少しはマシに……いや、余計異様か……」


「五月蠅いよ、ほっとけ」


「よう。仕事終わったんなら、今から一杯どうよ?」


「オマエ飲み会は……」


「おう、終わった。それの帰り道☆」


「なら、強制的に飲み決定ってこと?」


「サンタの仕事の話を肴に、もっかい飲み直しだ!」


カカシはハァ~と大きく溜息をついた。

吐き出された溜息は、冬の夜気に白く燻る様にして、消えた。

アスマの指先から立ち上る紫煙もまた、カカシの呼気に重なり、薄くけぶって消えていった。








男二人のクリスマスは、まだまだこれからのようだ。背の高いサンタと熊さんは、ゆっくり路地へと足を向けるのだった―――。








お~しまい。






2010/12/25(土) 20:58 カカナル文 permalink COM(0)
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